コインチェック流出問題と確定申告:仮想通貨の強制利確、税金どうなる?

コインチェック流出問題と確定申告:仮想通貨の強制利確、税金どうなる?
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花ちゃん

花ちゃん

確定申告が大好きなフリーランス
サラリーマンを経て2011年に独立。企業向けにWebマーケティングのお手伝いなど。
「会計や簿記が大の苦手で、確定申告シーズンはいつも憂鬱…」
だったんですが、青色申告を何度も経験するうちに大好きになりました。
スゴイ確定申告.bizでは「フリーランス目線」を大切にわかりやすさを重視!

どうも、スゴイ確定申告.bizの花ちゃんです。

仮想通貨取引所コインチェックのネム流出問題には驚きました。自営業者的には確定申告の時期ですし、税金面の考察。

 

2018年になってまだ30日も経っていないというのに、お金にまつわる驚きのニュースが多いですね。晴れ着レンタル屋はれのひ社長が飛んだり…。

そんなはれのひ社長が謝罪会見をおこなったタイミングと時を同じくし、仮想通貨取引所コインチェックによる仮想通貨XEM/NEM(ネム)580億円相当流出事件の謝罪会見も開催。その後、日本円での返金も発表されました。

コインチェック事件で『去年利確したけどコインチェックから出金できない人』『強制的にネムを日本円に換金される人(利益確定される人)』税金面(所得税や住民税)がとても気になりましたので、そのあたりを調べてみました。

※ここに書いている情報は2018年1月29日現在の情報をあつめ、それを元に考察した個人的な意見や感想です

 

コインチェックから流出した仮想通貨ネムは約88円のレートにて日本円で返金

事件の詳細は様々なメディアでも大々的に取り上げられているので割愛しますが、事件から返金発表までの流れをざっくり言えば

  • 1月26日午前3時頃、コインチェックの仮想通貨が何者かに盗まれる(セキュリティがガバガバだったと指摘されてる)
  • 盗まれた金額は日本円にして580億円相当(流出時のレート換算)
  • 1月28日未明、コインチェックの手持ち資金である日本円で返金すると発表(580億円も現金持ってるの?!と驚きの声)
  • ただし!流出時のレートより低い「1ネム88.549円を日本円で返します」とのこと(その結果、返金額は460億円程度に。それでもスゴい額)

こんな感じです。

流出時のレートではなく、その後下落したレートである88円での返金、というのがこれまたひと悶着起きてますね。ここ最近の値動きとしては、(流出によるネガティブな反応も含め)88円というのは低いと言えます。

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ざっくりしたチャートですが、参考までに…

ご覧の通り、1ネム88〜89円というのはここ数日で一番下ってる状態。

 

大問題!!コインチェックから日本円すら出金できない状態に…

88円というレートではありますが、返金が発表されたことで「返金ゼロで倒産、という最悪のシナリオは避けられた…」と胸をなでおろしてる人々も多いようです。

しかし、そうもカンタンにいかない事態が発生中。なんと『コインチェックから日本円が出金できない』という状態になっています。

さらにコインチェック側の「返金はしますが、返金の予定日は未定です」というアナウンスもあるため、

  • 本当にお金が用意できるのか?
  • 現金が手元にあるなら、なんですぐに返金日程の決定や出金できるようにしないの?
  • もしかして…返金してくれるって時間稼ぎのウソなん?

なんていう不安や疑念の声も聞こえてきます。

輪をかけてこんなニュースも…

仮想通貨取引所大手の「コインチェック」(東京都渋谷区)は28日、不正アクセスで約580億円相当の仮想通貨「NEMネム」が流出した問題について、被害状況や顧客への補償方針を金融庁に報告した。

金融庁幹部によると、全額を返金できるという説明について、金融庁としては、納得できる内容ではなかったという。

出典:全額返金、金融庁「納得できる説明ではない」

ヤバイヨヤバイヨ〜

 

コインチェック流出事件で起こりうる税金問題2つ

今回の事件で起こる問題はたくさんあるんですが、その中でも個人に関わる税金問題で考えると大きく2つあります。

  1. 【長期化または万が一倒産したら…】
    去年利益確定したけどコインチェックから日本円を出金できない人→税金(所得税及び住民税)が払えない地獄
  2. 【ちゃんと返金されるとしたら…】
    ネムホルダーで強制利確される人→不本意な利益確定で所得税発生

 

日本円にしていなければ税金はかからない!なんてことはない

ひとつ注意点ですが、仮想通貨同士をトレード(売買)しても、日本円に換金していない場合は税金がかからない、というわけではありません。トレードという行為を経て利益が発生すれば税金がかかる、というものなのでご注意を。

 

仮想通貨の税率は雑収入扱いで高い!

仮想通貨による収益は雑収入扱いになるため、

[aside type=”normal”]雑収入の所得税率

  • 195万円以下 5%
  • 195万円を超え 330万円以下 10%
  • 330万円を超え 695万円以下 20%
  • 695万円を超え 900万円以下 23%
  • 900万円を超え 1,800万円以下 33%
  • 1,800万円を超え4,000万円以下 40%
  • 4,000万円超 45%
[/aside]

という具合に利益に応じて所得税がかかります。さらにここに住民税が約10%かかります。(控除もありますが)この税率の高さは本当にツライところ。

 

【コインチェックと税金問題 その1】2017年のうちに利確!でも出金できない!税金払えない地獄に落ちる可能性…

これ、最悪のシナリオとも言える状況です。大きなお金が関わってくることなので自殺者が出てもおかしくないレベルというか…

現在コインチェックは日本円すら出金/送金できない状態が続いています。これがどういう理由からなのか明確な説明もありません。

返金します!とおっしゃってますが、金融庁も「全額返金の内容に納得できない」と漏らしてますし、果たして本当に返金できるのか…。

これ、万が一にも返金できずに倒産したり、長期化してその間ずっと日本円を出金できない、という事態になった場合、2017年時点で利確してて日本円を出金してない人は、2017年分の確定申告(2018年3月15日が期日)の時に税金が払えない可能性が出てきます。

※ただし、コインチェックが倒産した場合、その証明をすることで損金扱いに出来る可能性あり

 

【要注意】所得税の納付期限は確定申告のタイミング、つまり3月15日まで

仮想通貨市場は非常に大きな膨らみ方をしており、億り人なんていう、億単位で儲けている人もいる世界。1000万円クラスの利確者が多数いてもおかしくありません。そういう人たちは100万円単位の所得税がかかってくるわけですが、税金を支払う原資である日本円をコインチェックから出せないとなると、これは非常にまずい状態。

なぜまずいかっていうと、原則として所得税は3月15日までに現金一括で納付する必要があるからなんです。

納税猶予の申請延納などの制度もありますが、額が大きすぎてなかなか厳しいのではないでしょうか。なお、税務署に個別相談すれば所得税の分割払いなども対応可能と言われています。

ただし、現時点ではどのような形に落ち着くのか、特に発表などは出ていません。

 

【コインチェックと税金問題 その2】コインチェックからの返金でネムが強制利確した場合の税金はどうなるのか?

今回の流出をうけ、被害を受けたネムホルダーの元には88円というレートで日本円が返ってくる予定です。

無事に返金されるとして、これは本人の意図とは関係なく利益確定することになる見通し。10円以下の時にネムを大量購入し、長期保有(ガチホ)でもっと伸びるのを待っていたような人はあまりにツライですよね、これ。ネムって一時は150円も余裕で超えてたわけですし。

今回の強制利確には3つの見方があります。

  1. 利益確定とみなされ、通常通り利益に応じて税金がかかる
  2. 雑損控除の対象になる
  3. 賠償金扱いとなり非課税となる

あくまで予測なのでどれが確実ってわけではありません。また、上記以外の可能性もあります。そのあたりも踏まえ、個人的な予測としてご覧ください

 

【コインチェックで強制利確 パターン1】利益確定とみなされ、通常通り利益に応じて税金がかかる

強制利確が発生し利益が発生した場合、通常通りに課税される、というパターンです。普通に考えるとここに落ち着きそうな感じですね。

これ、ネムが10円以下の時からガチホしてる人としてはゼロになるよりマシですが、あまりに悲しい結末ですよね〜…。あと、200円近くで高値掴みした人はただ損失になるだけっていう。苦笑

 

【コインチェックで強制利確 パターン2】雑損控除の対象になる

所得税法には雑損控除、という制度があります。

雑損控除の概要
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。

損害の原因
次のいずれかの場合に限られます。

(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。

出典:国税庁ホームページより

火災や盗難などの被害にあった場合に適応される制度です。計算式としては

[box class=”blue_box” title=”雑損控除の計算式”]

差引損失額 = 損害金額 + 災害等に関連したやむを得ない支出の金額 – 保険金などにより補てんされる金額

[/box]

となっています。

ただ、1つ大きな問題がありまして、「生活に通常必要でない資産」は対象外というルールがあるんです。

ギャンブルや骨董品なんかは対象外。現在の仮想通貨相場は投機性(ギャンブル性)が高いこともあり、生活に必要ではない資産という扱いを受ける可能性があります。

株式投資もそうですが、こういうところに突っ込むお金はあくまで余剰資金(無くなっても良いお金)というのが大前提ですし、雑損控除になるのかどうか…。

 

【コインチェックで強制利確 パターン3】賠償金扱いとなり非課税となる

このパターンが一番損失が少なくなるかな、と思います。

というのも、利益確定扱いにはならないので税金がかかりませんから、ガチホ勢はとりあえず最小限の損失で済みます。

ただし、ネムは手元から無くなりますので、今後ネムが高騰した場合、「あの事件がなくその後もホールドできてたら…」なんていうタラレバの悪夢にうなされるかもしれません…。(まあ、ネムが手元に戻らない以上はどの結末でも見る悪夢だとは思いますが…)

とはいえ、賠償金扱いになるのかどうかはコインチェック側の出方次第と思われますので、こればっかりはどうなるかわかりません。

 

最後に

あくまで個人的な予測なので、実際にどのような処置がとられるのかわかりません。国が動いて所得税にたいして特別な対応が出るかもしれませんし。

税金の話とはそれますが、今回の事件、一部でコインチェック側をやたら擁護する声もあります。「ドロボーが悪い!コインチェックは精一杯やってる!」とか。僕はこれにとても違和感があります。

今回の事件はお金を盗んだ泥棒が一番悪いです。それは当然。

ただ、コインチェック側がセキュリティ的にずさんだったという情報が多く出てきており、「技術的に難しかった」など対応の遅れを本人たちも認めています。

コインチェックは自社サービスの安全性の保持のために、顧客から預かったビットコイン資産のうちの流動しない分を、インターネットから秘密鍵を物理的に隔離した「コールドウォレット」に保管するとしていた。しかし、NEMについては「システム的に難しかった」として全てオンラインである「ホットウォレット」で保管していたことを明かした。

出典:コインチェック、580億円相当の仮想通貨「NEM」なぜ消失

財布に穴が開いてるのに「うちにあるミシンじゃ塞ぐのが技術的に難しいから」と半ば放置し、それをごまかしながらCMで多くの人を誘い入れ、結局その穴から盗まれたようなものとも言えます。一般的に業界で認知されているようなセキュリティホールを放置した責任は、やはりサービス提供側にあるのではないでしょうか?

とはいえ、全額返金する!という意思決定はとても素晴らしいと思います。あとはこれがブラフではなく、本当に返金されることを祈るばかりです。

そして確定申告の季節ですし、利益確定者の皆さんが所得税が無事に支払えることを祈っています。

[box class=”green_box” title=”確定申告の関連記事”]

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